『コラム』
- 室蘭スポーツ協会
- 2022/09/18
「辛くない」「苦しくない」高地トレーニングの効果(㊆栗林商会アリーナトレーニング室)
最近注目を集め、身近でも利用できるようになってきた高地トレーニング。
様々な効果が期待できると言われていますが、実際にどのような効果が期待できるのか解説していきます。
①脂肪燃焼、ダイエット
酸素濃度の低い高地環境では少ない酸素を効率よく使おうよする適応が起こり、ミトコンドリアの数が増えると言われています。また、シワやシミなど老化の原因とされる劣化したミトコンドリアの処理が進むので、健全なミトコンドリアの割合が増えるとされています。
このミトコンドリアは人間の体の約9割のエネルギーを作っていて多くの熱産生を担っているため、ミトコンドリアが増えることでエネルギーを作りやすく、使いやすい体になります。結果的に脂肪燃焼やダイエット効果が期待できるというわけです。
②平地の4倍の運動効果
高地環境では飢餓状態を察知した体内で、体を元の状態に回復させるEPOC(運動後過剰酸素消費量)という反応が起こります。アフターバーン効果とも言われるこの現象は最大で72時間続くともされていて、高地環境での軽い運動でも4倍の効果が期待できます。
③「楽に」効率よく運動ができる
高地環境はその空間で居るだけで体の内部から細胞レベルで負荷がかかっていて意味があります。なのでその空間で行う内容(プログラム)はあくまでも手段であり、実際に行うのはウォーキングでもストレッチでも読書でも良いのです。従来の運動のように心拍数を上げながらキツい運動をすることなく高い効果が期待できるので、運動初心者からアスリートまで「楽に」効率よく運動を行うことができます。
④冷え性改善、肩こり解消
ミトコンドリアは「熱を作る」ことで体温を維持する役割も担っています。このミトコンドリアの働きが低下すると冷え性に陥ってしまいます。女性ホルモンであるエストロゲンもミトコンドリアの中で作られているため、女性にとってもミトコンドリアは非常に重要な細胞です。高地環境では劣化したミトコンドリアの処理が進んだり、ミトコンドリア自体の数が増えることで熱産生が進むので、体温を維持しやすく「冷え性」改善が期待できます。
血流の滞りが原因とされる肩こりもこのミトコンドリアの働きがポジティブに活性化して体温を維持することで解消が期待できます。
⑤体力の向上
高地環境では、赤血球の産生を促す造血因子のひとつであるエリスロポエチンが増えると言われています。エリスロポエチンが増えると、筋肉への酸素供給量が高まって持久力が向上します。外部から摂取するエリスロポエチンは長年尿検査から検出できなかったこともあり、ドーピングに悪用されていました。もちろん、高地トレーニングによるエリスロポエチンの増加は体内で起こることなのでドーピングにはなりません。自然のドーピングとも言えます。